肺高血圧症の病態の解明、診断能と治療成績の向上、および治療指針の確立をはかり、貢献することを目的として活動を行っております
2018年度 日本肺高血圧・肺循環学会学術集会(6.22~23、千里ライフサイエンスセンター、会長:瀧原圭子)にて受賞講演を行いますので、会員の先生方はご参集をお願いします。
赤木 達 (岡山大学大学院医歯薬学総合研究科 循環器内科学)
「ナノ粒子を用いた新規肺高血圧治療法の開発」
特発性肺動脈性肺高血圧症に対し単剤で長期予後を改善するのはPGI2製剤のみである。しかしカテーテルを用いた持続静注投与が必須であり、それに伴う合併症や副作用が懸念される。ナノ粒子はその特性によりドラッグデリバリーシステムとして応用され、様々な投与法を可能にする。我々はPGI2封入ナノ粒子を作成し、肺高血圧ラットに経気管支的に単回投与してその効果を検討した。PGI2封入ナノ粒子から徐放的にPGI2が放出されることで、持続的な肺動脈平滑筋細胞の増殖抑制及びアポトーシス誘導がもたらされ肺高血圧が改善した。ナノ粒子を用いた投与方法は、今後新たな肺高血圧治療法として期待できる。