肺高血圧症の病態の解明、診断能と治療成績の向上、および治療指針の確立をはかり、貢献することを目的として活動を行っております
坂尾 誠一郎(千葉大学大学院医学研究院 呼吸器内科学)
細胞機能障害からみた肺高血圧症の病態機序解明および新規治療法の開発
様々な要因により肺動脈血管内皮細胞が障害されると、結果として肺動脈構成細胞の増殖や血管収縮などにより肺動脈病変が生じ、その進展により肺高血圧症(PH)の病態が成立する。同時に右室心筋細胞の代謝機能障害が進行し、最終的には主な死亡原因とされる右室機能不全に至る。PHには、主な病変部位が末梢肺動脈である肺動脈性肺高血圧症(PAH)と中枢および末梢肺動脈である慢性血栓塞栓性肺高血圧症(CTEPH)などが含まれる。われわれは分子生物学的アプローチにより、両疾患における病態解明を『細胞機能障害』の観点から発展させてきた。さらに現在は右室機能改善のため直接的な治療法確立を目指している。