肺高血圧症の病態の解明、診断能と治療成績の向上、および治療指針の確立をはかり、貢献することを目的として活動を行っております
佐藤 公雄(東北大学 循環器内科学)
致死性疾患肺高血圧症の全く新しい病因蛋白に着目した治療薬開発
肺動脈性肺高血圧症(PAH)は、依然として致死的疾患である。従来の治療では限界があることから、全く新しい肺高血圧症治療薬を開発するために、新規病因蛋白の探索と創薬研究を進めてきた。PAHの肺動脈血管平滑筋細胞(PAH細胞)は、癌細胞類似の高い増殖性を有し、このために微小肺動脈壁の肥厚と狭小化を来す。そこで、PAH細胞の網羅的解析により新規病因蛋白の探索を進め、3つの新規病因蛋白を同定した。さらに、創薬ライブラリーを用いたハイスループット・スクリーニングを進めている。基礎研究から得られた知見を臨床応用し、臨床現場で出た疑問を基礎研究によって深く解き明かすような研究を継続し、PAHの予後の改善を目指したい。