肺高血圧症の病態の解明、診断能と治療成績の向上、および治療指針の確立をはかり、貢献することを目的として活動を行っております

本学会について

2018年度 日本肺高血圧・肺循環学会「八巻賞」受賞者

八巻賞は毎年一名に授与されておりましたが、2018年度は甲乙つけがたい二名の候補者が選考され、選考委員会、理事会にて審議の結果、二名の受賞者となりました。2018年度 日本肺高血圧・肺循環学会学術集会(6.22~23、千里ライフサイエンスセンター、会長:瀧原圭子)にて受賞講演を行いますので、会員の先生方はご参集をお願いします。

2018年度 日本肺高血圧・肺循環学会「八巻賞」受賞者および受賞研究題目(五十音順)

●片岡雅晴(慶應義塾大学医学部 循環器内科)

肺高血圧症に対する多角的病態機序解明と治療法発展を目指した永続的取り組みと成果

研究要旨

肺動脈性肺高血圧症(PAH)および慢性血栓塞栓性肺高血圧症(CTEPH)の病態機序解明と治療法発展に向け、基礎研究と臨床研究の両面から取り組んできた。PAHに対しては、多数患者のサンプルを収集し、病態解明に向けた取り組みを行ってきた。特に、日本人PAH患者における遺伝学的背景について詳細な解析を行い、治療反応性の遺伝学的差異についての知見等、一連の多くの成果を得た。CTEPHに対しては、難病とされた本疾患の予後を著明に改善する画期的な低侵襲治療法であるバルーン肺動脈形成術(BPA)について、合併症回避のための客観的指標の提唱等、多角的な解析を行ってきた。



●中村一文(岡山大学大学院医歯薬学総合研究科 循環器内科学)

肺血管のリバース リモデリングを目指した肺高血圧症の治療

研究要旨

「肺動脈性肺高血圧症(PAH)において肺血管のリバース リモデリングを起こす」 ことを目的として基礎的ならびに臨床的検討を行ってきた。PAH患者の肺動脈平滑筋細胞は増殖能亢進・遊走能亢進・apoptosis 抵抗性を示すが、エポプロステロールやある種の分子標的薬がそれらを抑制し、肺血管のリバース リモデリングをもたらす。薬剤を肺血管局所に高濃度、徐放性に投与できるナノ粒子吸入療法の開発を行ってきた。さらなるリバース リモデリングを目指して新規標的分子の探索を行い、新規治療法を開発し、世界中のPAH患者を助けたい。