肺高血圧症の病態の解明、診断能と治療成績の向上、および治療指針の確立をはかり、貢献することを目的として活動を行っております
●田村雄一(国際医療福祉大学医学部循環器内科)
All-Japan肺高血圧症患者レジストリの構築と、それを活用したトランスレーショナルリサーチの展開
厚労科研費・AMED研究班主導によるAll-Japan体制の肺高血圧症(PH)患者レジストリJapan PH Registryを構築し、日本における治療成績が従来の他国の報告よりも優れていることが明らかにしてきた。また豊富な臨床データをベースとしたトランスレーショナルリサーチを推進し、ゲノム・サイトカイン・疫学研究を複合的に活用することで、ゲノムワイド関連解析(GWAS)やバイオマーカー研究および漢方薬(青黛)使用に伴う薬剤性PHの全国疫学調査および分子メカニズムの探索を進め、新たなPHの発症メカニズムに迫る研究を進めている。また肺高血圧症ワールドシンポジウム協会(WSPHA)のScientific Boardとして本邦における成果をこれからも世界に発信し続けていきたい。
●杉村宏一郎(東北大学 循環器内科学)
非手術適応慢性血栓塞栓性肺高血圧症に対する新たな治療法の確立
外科的治療法が主流であった慢性血栓塞栓性肺高血圧症(CTEPH)において、非手術適応のCTEPH患者の予後は不良であることが知られている。そこで、新たな治療法であるバルーン肺動脈形成術(BPA)治療について初期成績を報告し、OCT、CT、MRIといった様々なイメージングモダリティによる評価、また右心機能、全身代謝、酸素化といった多面的な改善効果があることも示してきた。そして、5年生存率98.4%と長期予後も良好であり、従来治療群と比較し予後を改善することを明らかにした。