肺高血圧症の病態の解明、診断能と治療成績の向上、および治療指針の確立をはかり、貢献することを目的として活動を行っております

本学会について

日本肺高血圧・肺循環学会「八巻賞」

2018年度

日本肺高血圧・肺循環学会「八巻賞」受賞者および受賞研究題目

片岡 雅晴(慶應義塾大学医学部 循環器内科)

肺高血圧症に対する多角的病態機序解明と治療法発展を目指した永続的取り組みと成果

研究要旨

肺動脈性肺高血圧症(PAH)および慢性肺血栓塞栓性肺高血圧症(CTEPH)の病態機序解明と治療法発展に向け、基礎研究と臨床研究の両面から取り組んできた。PAHに対しては、多数患者のサンプルを収集し、病態解明に向けた取り組みを行ってきた。特に、日本人PAH患者における遺伝学的背景について詳細な解析を行い、治療反応性の遺伝学的差異についての知見等、一連の多くの成果を得た。CTEPHに対しては、難病とされた本疾患の予後を著明に改善する画期的な低侵襲治療法であるバルーン肺動脈形成術(BPA)について、合併症回避のための客観的指標の提唱等、多角的な解析を行ってきた。



中村 一文(岡山大学大学院医歯薬学総合研究科 循環器内科学)

肺血管のリバース リモデリングを目指した肺高血圧症の治療

研究要旨

「肺動脈性肺高血圧症(PAH)において肺血管のリバース リモデリングを起こす」ことを目的として基礎ならびに臨床的検討を行ってきた。PAH患者の肺動脈平滑筋細胞は増殖能亢進・遊走能亢進・apoptosis 抵抗性を示し、エポプロステロールやある種の分子標的薬がそれらを抑制し、肺血管のリバース リモデリングをもたらす。薬剤を肺血管局所に高濃度、徐放性に投与できるナノ粒子吸入療法の開発も行ってきた。さらなるリバース リモデリングを目指して新規標的分子の探索を行い、治療法を開発し、世界中のPAH患者を助けたい。

2017年度

日本肺高血圧・肺循環学会「八巻賞」受賞者および受賞研究題目

佐藤 公雄(東北大学 循環器内科学)

致死性疾患肺高血圧症の全く新しい病因蛋白に着目した治療薬開発

研究要旨

肺動脈性肺高血圧症(PAH)は、依然として致死的疾患である。従来の治療では限界があることから、全く新しい肺高血圧症治療薬を開発するために、新規病因蛋白の探索と創薬研究を進めてきた。PAHの肺動脈血管平滑筋細胞(PAH細胞)は、癌細胞類似の高い増殖性を有し、このために微小肺動脈壁の肥厚と狭小化を来す。そこで、PAH細胞の網羅的解析により新規病因蛋白の探索を進め、3つの新規病因蛋白を同定した。さらに、創薬ライブラリーを用いたハイスループット・スクリーニングを進めている。基礎研究から得られた知見を臨床応用し、臨床現場で出た疑問を基礎研究によって深く解き明かすような研究を継続し、PAHの予後の改善を目指したい。

2016年度

日本肺高血圧・肺循環学会「八巻賞」受賞者および受賞研究題目

坂尾 誠一郎(千葉大学大学院医学研究院 呼吸器内科学)

細胞機能障害からみた肺高血圧症の病態機序解明および新規治療法の開発

研究要旨

様々な要因により肺動脈血管内皮細胞が障害されると、結果として肺動脈構成細胞の増殖や血管収縮などにより肺動脈病変が生じ、その進展により肺高血圧症(PH)の病態が成立する。同時に右室心筋細胞の代謝機能障害が進行し、最終的には主な死亡原因とされる右室機能不全に至る。 PHには、主な病変部位が末梢肺動脈である肺動脈性肺高血圧症(PAH)と中枢および末梢肺動脈である慢性血栓塞栓性肺高血圧症(CTEPH)などが含まれる。 われわれは分子生物学的アプローチにより、両疾患における病態解明を『細胞機能障害』の観点から発展させてきた。 さらに現在は右室機能改善のため直接的な治療法確立を目指している。